いきもの学びなおし講座へ
南三陸町の『サスティナビリティセンター』主催の講座、いきのも学びなおし~魚類編~に参加してきました。
去年の10月に開催された生き物の話でもマニアックなお話がたっぷり聞けたので、今回も楽しみにしていました。
今回は魚の標本作りです!!普段行なうことの無い体験です。
いつも潜った時に愛でている可愛い魚を今日は標本にします。かわいそうな気持ちもありますが、疑問があるといつも詳しく教えてくれる研究者の方がどのように魚の分類を行なっているのか直接拝見できる機会ですし、水中では分からないほど細かな部分(魚類検索図鑑に記載されている同定ポイント)を自分で確認できる貴重な体験です。
南三陸町ネイチャーセンターの阿部さんと鈴木さんの説明を受けながら、まずは標本作りスタート!
私の選んだのは↑このコ。パッと見て、すでに〇〇カジカだな~と自分では思っているけど、本当にそうなの!?
麻酔で眠らせて観察時間です。この個体の場合の同定箇所は、背中の鱗が第二背ビレの途中までなのか背ビレの後方にまであるのかというところ。普段水中では絶対分からないので、顕微鏡で確認し初めてその部分が見えたので感激しました!!間違いなくヒメフタスジカジカでした。
その後、尾ビレ・第一背ビレ・第二背ビレ・腹ビレ・臀ビレ・胸ビレを広げて固定し、ホルマリンを加えて固めます。
参加者の皆様も、自分が選んだカジカが何カジカなのかを、背ビレ・鰓蓋骨・下顎の模様・皮弁の有無などで同定していました。
ホルマリンに浸して3時間ほどしてから真水で洗い、標本撮影し、アルコール入りの瓶に入れて出来上がりです。
標本がホルマリンで固まる間、温暖化によって近年志津川湾で採れるようになったアイゴについて学びました。
アイゴは海藻・海草を食する魚で、関東以南では食害によって磯焼けが問題になっています。そのアイゴが数年前から見られるようになり、去年は卵がお腹にある成体が定置網にもかかるようになったそうです!
今回はこのアイゴを測定・解剖し内部器官を確認、胃・消化器官の内容物をシャーレに取り出して、顕微鏡で確認する作業を行ないました。
内容物からは消化された海藻の他に、アマモの欠片、紅藻の欠片、褐藻の欠片など判断できるものも見つかります。また、一緒に食されたと思われるワレカラの欠片も見つかりました。
キタムラサキウニの食害での磯焼け対策も大きな課題であるのに、温暖化によってアイゴが北上しているのであれば、大変深刻な問題になります。
一時的なことであるのか、越冬して増えていくのか、今後継続して観察する必要があります。
カジカの標本作りもアイゴ解剖による内容物確認作業も、普段とは全く違う視点から魚を知ることが出来たこと、また環境変化への対応などを考える機会になり、大変有意義な時間でした。
今後も様々な講義が開催されるそうです。上のFacebookで告知されると思いますので、興味のある方は参加してみてはいかがでしょうか。